FAQ
中古マンションの購入では、判断に迷う場面がいくつもあります。
ここでは代表的な7つの疑問に、公開データの分析結果と、
業界の内側で見てきた事実を基にお答えします。
このページで示す価格の分析は、国土交通省が公開している実際の成約データを当社が集計・回帰分析したものです。不動産会社の感覚や、売り出し中の希望価格ではありません。
対象は城南4区(目黒区・世田谷区・品川区・大田区)の中古マンション、2005年から2026年までの成約74,887件です。分析と解釈を行ったのは当社であり、国土交通省が公表しているものではありません。
Question 01
損とは限りません。それどころかデータ上は、築浅の物件を買ったほうが、保有中の値下がりは大きくなっています。
マンションの価格は、築年数が増えるにつれて一定のペースで下がるわけではありません。下がり方が最もきついのは新築直後で、古くなるほど緩やかになります。詳しくは次のご質問でご説明します。
もうひとつ押さえておきたいのが、物件そのものの値下がりと、市場全体の動きは別のものだということです。この二つは同時に起こり、互いを打ち消し合います。
この二つは、どちらも毎年同時にかかります。たとえば築20年の物件なら、1年ごとに築年数で約2.2%下がり、市況で約1.4%上がる——差し引きすると、年あたり約0.8%のマイナスです。
6,000万円で買った物件なら、1年目は築年数で約130万円下がり、市況で約83万円戻って、5,952万円。これが10年積み重なると5,541万円、目減りは約8%という計算になります。値下がりの大部分が、市況の上昇で埋め合わされるわけです。
この計算を、買ったときの築年数ごとに並べたのが次の表です。
| 買ったときの築年数 | 築年数による目減り | 市況成長率 | 差し引き |
|---|---|---|---|
| 新築 | −29.1% | +15.0% | −18.5% |
| 築10年 | −13.6% | +15.0% | −0.6% |
| 築20年 | −19.7% | +15.0% | −7.7% |
| 築30年 | −16.0% | +15.0% | −3.4% |
| 築40年 | −10.1% | +15.0% | +3.4% |
※ いずれも購入から10年間の試算。市況成長率は10年で15%(年1.4%程度)で一定と仮定しています。
※ 単純な引き算(−19.7%+15.0%=−4.7%)にならないのは、どちらも決まった金額ではなく「その時点の価格に対する割合」として毎年かかるためです。
新築を買った場合の目減りが最も大きく、築40年の物件を買った場合が最も小さい。「古い物件は損をする」という直感とは、逆の結果です。新築価格には販売にかかる費用が含まれており、それが数年で剥がれ落ちるためだと考えられます。
「市況成長率」は仮定として置いた数字です。過去20年の城南4区は実際にはこれを上回るペースで上昇しましたが、今後を予測することはできないため、控えめな値を使っています。市況が下落すれば、差し引きはさらにマイナスへ振れます。当社にも今後の相場は分かりません。確かなこととしてお伝えできるのは、築年数による値下がりの「形」——新築直後が急で、古くなるほど緩やかになること——だけです。
Question 02
「築◯年まで」という線引きに、データ上の根拠はありません。価格の下がり方は、築年数が進むほど緩やかになります。古い物件ほど、それ以上の値下がりリスクは下がると言えます。
Q1でも触れたとおり、マンションは一定のペースで値下がりするわけではありません。城南4区の成約74,887件を築年数の帯ごとに分けて計算すると、10年あたりの下落率はこれだけ違います。
| 築年数 | その10年間の下落率 | 新築時からの累計 |
|---|---|---|
| 新築〜築10年 | −29.1% | −29.1% |
| 築10〜20年 | −13.6% | −38.8% |
| 築20〜30年 | −19.7% | −50.8% |
| 築30〜40年 | −16.0% | −58.7% |
| 築40〜50年 | −10.1% | −62.9% |
※ 公開データの建築年(竣工年)を基準に計算しています。実際には多少の誤差が生じる可能性があります。
最も急に下がるのは新築直後、最も緩やかなのは築40年超です。「古くなるほど加速度的に下がる」わけではありません。新築時の価格を100とすると、築20年で約61、築30年で約49、築40年で約41、築50年で約37。築40年を過ぎたあたりから、価格はゆるやかに底に近づいていきます。
1981年以前に建てられた、いわゆる旧耐震基準の建物についても調べました。城南4区の成約のうち14.5%がこれにあたります。
築年数の影響を取り除いたうえで比べると、旧耐震の建物はおよそ2.7%安く成約していました。差はあるものの、「旧耐震だから大幅に安い」というほどの開きではありません。
以上をまとめると、築年数だけで候補から外すのは、選択肢を大きく狭めるだけで合理性がありません。同じ築30年でも、管理の行き届いた建物とそうでない建物では、住み心地も将来の資産価値もまったく違います。
見るべきは、管理組合が機能しているか、修繕積立金が計画どおり積み上がっているか、大規模修繕の履歴があるか。旧耐震の建物であれば、耐震診断や補強工事を行っているか。これらは築年数からは分かりませんが、調べれば分かることです。気になる物件があればお申し付けください。
Question 03
たしかに高く成約しています。ただし「割高」かどうかは、このデータでは判断できません。
城南4区の成約49,435件を分析すると、リフォーム済み物件は築年数・立地などの条件をそろえても平均で約15%高く成約していました。6,000万円の物件なら、およそ890万円にあたる差です。ちなみに成約全体のうち、リフォーム済みは28.4%を占めます。
ここで「では割高だ」と結論づけたくなりますが、そうは言えません。
15%の差が「リフォームによって上がった分」なのか、それとも「もともと条件の良い住戸が選ばれてリフォームされている」ためなのか、公開データからは区別できません。前者なら価格差には根拠がありますし、後者なら物件そのものの差ということになります。したがって、一概に割高とも妥当とも申し上げられません。
リフォームには、工事費以上に価格を押し上げる効果があります。その理由は、見栄えが良くなるからです。
ポータルサイトに載る写真はきれいに写り、実際に内覧しても印象が良い。表面的な部分ではありますが、それが理由で人気が出るのは事実です。結果として販売価格が、かかったリフォーム費用を大きく超えて上がることもあります。この場合は割高と言えます。
もうひとつの道として、リフォーム前の物件を買い、自分で工事をする方法があります。リフォーム済み物件を購入するより、かなり予算を抑えることができます。
ただし費用がかかる以上に、手間がかかります。どこをどんなふうに直すのか。設備はどのメーカーの、どのグレードを選ぶのか。決めることは想像以上に多く、工事期間中の住まいも必要になります。
選ぶ楽しみがある一方で、その分の時間と労力を差し出すことになる——こういったメリット・デメリット面を知った上で選択しましょう。ご自身がどちらに向いているかを見極めることが先で、価格の比較はそのあとです。
判断材料になるのは、平均値ではなくその物件で実際に何をしたかです。
なお「変えられるもの」と「変えられないもの」を分けて考える視点については、購入サービスのページで詳しくご説明しています。
Question 04
一概にそうは言えません。区によって、結果が正反対に分かれます。
立地の条件をそろえたうえで、20㎡広い部屋の㎡単価がどれだけ違うかを調べた結果です。
| 区 | 20㎡広い場合の㎡単価 | 買主から見ると |
|---|---|---|
| 目黒区 | +2.0% | 広いほうが割高 |
| 世田谷区 | +1.6% | 広いほうが割高 |
| 品川区 | −0.7% | 広いほうが割安 |
| 大田区 | −4.4% | 広いほうが割安 |
目黒区と世田谷区では、広い部屋のほうが㎡単価が高くなっています。一方、品川区と大田区では安い。隣り合う4つの区で、逆の結果が出ました。
つまり「広い部屋を選べば㎡単価が割安になる」という法則は、存在しません。お探しのエリアによって話が変わるので、一般論で判断できる問題ではないということです。
そしてもうひとつ。㎡単価が多少割安になったとしても、総額は面積に比例して上がります。広さを求めれば予算が上がることは、避けられません。
Question 05
記載内容の正確さ以上に、「何が書かれていないか」に注目しましょう。
私は前職で、不動産ポータルサイトの事業企画に10年間携わってきました。その立場から申し上げると、多くの方が見落としているのは、掲載原稿を作っているのは物件を預かった不動産会社だということです。ポータルサイトが取材して書いているわけではありません。
つまり、原稿の出来は物件の質ではなく、会社の手のかけ方を表しています。
よくある誤解
実際のところ
ここが購入検討で最も損をしやすいところです。原稿の印象だけで候補から外すと、条件に合う物件を見逃します。逆に、写真の印象が良いというだけで判断を急ぐのも危険です。
物件の良し悪しは、掲載情報からは分かりません。気になったら、原稿の出来に関わらず、一度見学に行きましょう。判断の軸をどう作るかについては、購入サービスのページでご説明しています。
Question 06
一概にお答えできません。その理由は、今後相場が上がるか下がるかは予測することはできないからです。
事実として言えるのは、過去の実績だけです。城南4区の平均㎡単価は、2005年の69万円から2025年には117万円になりました。年平均にすると4.3%のペースで上昇してきた計算です。
ただしこれは過去の記録であって、今後の予測ではありません。この20年に起きたことが次の20年にも起きるという根拠は、どこにもありません。
その根拠を尋ねてみてください。金利、在庫、価格の動向——説明できることはあるはずです。ただし、それらはいずれも「今どうなっているか」の話であって、「これからどうなるか」ではありません。
相場を読み切れる人はいません。それでも購入を勧める会社があるとすれば、それは相場の話ではなく、営業の都合の話です。
相場が読めない以上、軸はご自身の事情に置くほうが現実的です。お子さまの進学、ご家族の状況、住宅ローンの条件、今払っている家賃。これらは相場と違って、ご自身で把握できることです。
「相場が底だから買う」ではなく、「自分たちにとって必要だから買う。そのうえで、条件の良い物件を粘り強く探す」——当社はこちらをおすすめしています。
Question 07
できます。ただし「いくら引けるか」より「なぜ引けるのか」を知っているかどうかで、結果は変わります。
「中古は1割引ける」といった相場観を耳にすることがありますが、そのような一律の目安は存在しません。交渉の余地は、売主の事情によってまったく違うからです。
交渉余地が生まれやすい状況
交渉が通りにくい状況
つまり同じ価格帯・同じ条件の物件でも、交渉できる幅はまったく違います。そして売主側の事情は、ポータルサイトの掲載情報には書かれていません。
売り出しからの経過期間、価格改定の履歴、売主が売却に至った背景——これらを事前に調べて交渉材料を用意するのが、買主側につく不動産会社の仕事です。「とりあえず100万くらい引いてくれないか聞いてみます」と言うだけなら、誰にでもできます。
物件情報はかつてないほど手に入りやすくなりました。写真も豊富で、地図で周辺環境まで確認できます。それでも購入の判断が楽になったかというと、むしろ難しくなっているというのが実感ではないでしょうか。
情報が増えるほど、何を基準に選べばよいかが分からなくなるからです。しかも中古マンションは一点物で、すべての条件を満たす物件は存在しません。どの物件にも、良い面と劣る面があります。
このページでお答えしたことにも、限界があります。データで言えるのは過去の傾向までで、これから買うあなたの一戸について言えることは、ほとんどありません。相場が上がるか下がるかも分かりません。
だからこそ必要なのが、あなた自身の「選ぶ軸」です。何を諦め、何を諦めないのか。それが決まっていれば、情報の多さは味方になります。LUMIASは、その軸をつくるところから一緒に始めます。
ここに書ききれなかったご質問にも、同じ姿勢でお答えします。
※現在は開業準備中のため、ご依頼・お問い合わせの受付を停止しております(開業予定:2026年10月)。